2013年9月23日月曜日

ロックンロールの自殺者



時間とは、たばこを空に
してゆくだけの能なしだ
きみ(ぼく)は さっきから
ばかみたいに
つぎからつぎへと
たばこを口におしこみ
またゆびにはさみ
をくりかえす
きみ(ぼく)は もはや
ロックをきく自殺者だ

きみはもう
完全にバカのりするほどには若くなく
しかもロックの意味するところを
全身で理解できるほど成長してはいない
時計は
ほかならぬきみの方が
うたいだすのをしんぼうづよく待っている
きみにはもう食べたいものはなにもなく
これまであまりにいろんなものを
アタマの中にほうりこまれて
いまや拒絶反応をおこしている
つまり
きみは いま
ロックをきく自殺者

調子のいいビートが
きみのアタマの中の
からっぽの大通りをはしってゆく
しかし
夜明けがきたらきみも
家へ帰らねばならないではないか
そのときに
太陽が照っても
もうきみには影がないこと
ミルクをたくさん飲んでも
精液を排泄することがあっても
それがきみの心まで支配しないことが必要だ
つまり キミが いわゆる
”自然である”ことは
たましいの用語からすれば
ずぼらで不親切で怠慢だということなのだ

愛 などを絶対視してはいけない
きみはそれほど孤独ではない
きみはいつもきみ自身を意識しているが
それはあまりにも不公平じゃないか
きみはきみのアタマをかかえこむが
もっと、目を 外へ向けた方がいい
きみはそれほど孤独ではない

きみがだれであれ
なにをしている人であれ
どこで いつ生まれた人であれ、キミの
くるしみの本質
痛みの本質は いま
みんなと同じであるはずだ
それは、だから
ぼくのものとも同じだ
だからぼくがロックをやることは
きみの痛みを救うことではなく
ぼくの痛みの中にきみが
きみの痛みの中へぼくが
入ってゆきたいと叫ぶことにほかならない

きみはだからけっして孤独などではない
ぼくと一緒にターン・オンしようではないか
きみは痛みだから
きみはとてもすばらしい ぼくはきみの
せめて手ぐらい
にぎりたい

0 件のコメント:

コメントを投稿